情報通信白書

7月8日2010年

情報通信白書は「コミュニケーションの権利を保障する『国民本位』のICT利活用社会の構築」なんだって。

「コミュニケーションの権利」というのが「ほー」と思わせるところで、「国民本位のICTの利活用」、「国民目線のICT」とかいうけど、さて、どこまで本気なんだろう。

とにかく、コミュニケーションのメディアなんて、みんなが使ってナンボのものなのだから、「いまさらそんな」という気もしないでもないし、また白書のタイトルが「平成22年版」というのも笑っちゃう。身近なICTデバイスで、今日の日付を「平成」付きで表示してくれるようなものがどれだけあるだろう?

「使わせるICT」ではなく、「進んで使いたくなるICTを提供できる環境を」ということなんだろう。それは悪くないと思う。本気でそう考えてるんだったら。
しかし、例えば白書を出してる当の総務省が今やってるアナログテレビへの嫌がらせは何なんだよ、と思うわけだ。「国民目線、国民本位」なら、「国民」がオッケーするまで地デジとやらへの移行を延期すればいいと思うんだけどね。それとも、地デジなんて嫌だというのは「非国民」か?

TwitterだとかUSTREAM、あるいはiPhoneなんかは、情報通信白書が褒め称える「国民目線」ICTサービスの例なんだろう。しかし、ちょっと待て。どれだけの「国民」が、ちゃんと使えているのかというと、総務省がブイブイ言うほど使えちゃいない。
ICTに限らないんだけれど、「使ってる」気になっていても、実は「使わせられてる」だけでしかない部分がもーのすごく大きい。Twitterにしても、ブログにしても、あるいはUSTREAMにしても、サービスを提供する企業のプロモーションで作られた「ブーム」である。そして、それが役に立つと思うのなら使えばいいし、役に立たないと思えば使わなければいいわけなんだが、情報通信白書からは「これはいいものだから、みんなが使えるようにするのが国民目線だい」という、何ともお上目線の押し付けを感じてしまうのである。

おじいちゃんもボクも、みんなTwitterでおしゃべり、というのが国民ITではない。
ICTの分野では、役所の利権や企業の利益のために制限されている国民の権利がいかに大きいか。そのようにして制限されている国民の権利については頬被りしたまま、「この範囲では自由に使わせてやろう」的な部分だけに焦点を当てて「国民目線でしょ」と威張ってみても、腐ったトマトが飛んでくるのがせきのやま。

たとえば、地デジのコピー制限って、あれは何でしょう?
著作権という権利を持っている企業の利益を守るために、法が認める正当な私的コピーを制限しようという仕掛けです。
ところが、ICTを活用しようと思う国民は、デジタル放送の内容をデジタル記録して、それをデジタル加工して楽しみたいと思ったりもする。だけど、そういう国民の要望は、企業の論理で握りつぶす。国民本位ではなく、企業本位の例だ。もちろん、地デジのコピー制限みたいなとんでもない制限をかけてるのは日本ぐらいのもの。

しかし、まあ、国民本位だのコミュニケーションの権利だのをいい始めたことは評価しよう。これを使ってガンガン役所や企業の利権を民衆の手に取り戻すたたかいを始めよう。

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