ザ・コーブ上映中止続出

6月7日2010年

ザ・コーブについては前にもちょっと書いたけど、予想されたことだが上映中止が相次いでいるらしい。東京では上映館がなくなったとか。
週刊シネママガジンのサイトの記事「渋谷駅にて『ザ・コーヴ』の上映中止を求めるデモが行われる」に右翼の演説を起こした内容が載ってて面白い。ちなみにYouTubeの主権回復をめざす会の公式チャネルとやらでも当日のデモの動画を見ることができる。

で、この映画は欧米白人が日本人を差別するために作った映画なんだって。動画を見ると、通りがかりの白人にいちゃもんをつけてたりする。どっちが差別なんだか。

動画を見てると、「言論の自由は空気みたいにどこにでも存在してんじゃねぇんだよ」という発言があって、一瞬「おっ」と思った。まったくその通り。でも、その後がひどかった。「言論の自由は日本という国が保証してんだ」だって…。中学をやり直したほうがいい。

こういう連中の言ってることにいちいち目くじらを立てるようなこともないかもしれないけど、この程度の連中だ。自分たちが仲間内でダベってることが「真実」で、それに反対するのはマスコミや反日の陰謀だ、ぐらいにしか考えられない。一種の妄想の世界の住民たちだ。
彼らは、まあそんな妄想が極端な状態になっちゃった人たちなんだろうけど、この手の妄想や思い込みは、インターネットなどを通じてじわじわと広がってるように思う。おそらく日本だけの現象ではなく、グローバルな現象だろう。

マスコミは、確かに相当おかしいところもあるのだが、少なくとも彼らのような極端な妄想や思い込みについては、一定の線でブレーキがかかる。いくら産経でも、「言論の自由は日本という国が保証している」なんてことは書かない。これは右翼とか左翼とか、思想信条や価値観以前に、すでに歴史の中で否定された価値だということは、いくら産経でも理解している(と思う)。
ところがネトウヨなんかが集まる場では、そんな人類の歴史が積み重ねてきた価値はすっ飛ばされて、彼らだけの価値で凝り固まってしまっている。だから何で自分たちがネトウヨと呼ばれてバカにされるのかわからない。そして外部の批判を拒否してますます内に閉じこもってしまう。

ザ・コーブの評価にしても、欧米白人の価値だとか、日本の価値だとか、それが良いとか悪いとか言ってるから本質を見失ってしまう。どんな価値だって、いいものなら受け入れればいいし、悪いものならそれが普遍的な価値の体系の中にどう受け入れられないのかをきちんと指摘して批判すればいい。脅迫的に上映を中止させても、普遍的な価値を押しつぶすことはできない。もし彼らの言う「西洋白人」による押し付けが普遍的な価値を持たないのなら、それを証明すればいいだけの話。
そういう普遍的な価値について考えれば、結局、ネトウヨ的価値観がいかに愚昧なものかってことに気がつくだろうけどね。

で、ザ・コーブなんだが、イルカ愛護がどこまで普遍的な価値を持つか、ってーと、ぼくは彼らが信じてるほど普遍的じゃないと思う。映画の評価は別として、製作者たちが主張するイルカ愛護ってのはネトウヨが言う「欧米白人」の偏った価値観に根ざすものだと思う。しかし、ザ・コーブという映画はまた別で、これは「反日的」に面白い。という表現がアレなら、文明批判的に面白い。
まあ、おちぶれたとはいえ、まだ日本は大国でもある。批判されるのは大国の特権ってもんだ。きわどいところだけれど、大国の国民たるもの、こんな映画で怒っちゃダメでしょ。

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