続・北朝鮮の魚雷
当局の公式発表から10日ほど経った。日米は即日、結果を受け入れて対北朝鮮圧力を高めているが、中露は「根拠があいまい」という理由で慎重な態度を崩さない。
日本国内では、「遺骨のDNA鑑定」で世界的に有名な自民は、その根拠がどうであれ、北朝鮮を攻撃するネタさえあればいいのだから、まあ予想通りの強硬姿勢。
民主が北朝鮮の脅威を沖縄基地問題の迷走の言い訳にしているのは見苦しい限りである。
共産が「北朝鮮は身に覚えがないのなら無実を証明しろ」とか言ってるのは、何だか昔、「大量破壊兵器がないのなら証明して見せろ」とか言ってた米国みたい。はっきり言ってこれには失望した。
社民はこれと言った反応を示していないようなのだが、あるいはぼくが見落としてるのか。
面白いのは韓国内の反応で、韓国政府の公式発表に対する疑問が続出している。
魚雷のスクリューに書かれていた「1番」は北朝鮮であまり使わない表現で不自然だという。また、錆の上にインクが乗っているように見えるのもおかしい、インクの上に錆が乗らなければいけないんじゃないか、とかいう声もある。さらに爆発時の熱でインクは分解して変色するはずなのに「さっき書いたばかりのように鮮明なのは、なぜ?」という疑問もある。
さらに、他の船から爆発直後の天安号を撮影した映像というのがある。最初、調査団は「そんなもの、ない」と言っていたのだが、追求に負けて出してきた。爆発から32秒ほど後の映像らしいのだが、天安の船首と船尾がほとんど同じ場所にある。調査団の発表の通り、バブルジェットで吹き飛ばされたのなら、こんなに近くに並んで浮いてるはずはないという。いや、そもそもバブルジェットで吹き飛ばされたのなら、あんなきれいに二つにちぎれるものか、という説もある。
また、航跡が公開されていないこと、水深の情報がころころ変わったことなども「疑惑」とされている。
これらの「疑問点」は、つまり、北朝鮮が言うように「捏造」なんじゃないかということ。
まず引き上げられた魚雷の推進部については、韓国当局が沈めたもので、「1番」も沈めたとき、あるいは引き上げてから書かれたのではないかということだ。バブルジェット云々も、結局、魚雷だったらあんな壊れ方しないということ。航跡や水深については、当初は水深数十メートルという発表だったのに、その後、水深はもっと深かったということになったのは、水深が数十メートルでは潜水艦が活動できないから都合が悪かったんじゃないかということ。
つまり何か別の原因で爆発、沈没したのを当局が北朝鮮の仕業にするためにいろいろ工作してるんじゃないか、と言いたげな雰囲気である。
実際、北朝鮮魚雷説に異議を唱える人は、座礁説を主張している。水深の発表も、当初の10メートルとか20メートルというのは、海底の地形によっては座礁してもおかしくない深さだ。座礁して船底が破れ、タービンが落ちてそれが爆発して、というようなストーリーだろうか。
初期にはテレビの放送で米軍が米兵を救出してるような映像を流したとかで、同海域で訓練中の米原潜と衝突したという説もあったけど、最近は原潜衝突説はなりをひそめてる。
いずれにしても、日米が「北朝鮮のせいだ!」と断定できるほど、誰もが納得できる状態からはほど遠い。「水中爆発で沈没」、「1番と書かれた魚雷の推進部を発見」という二つの事実から調査団は「北朝鮮の魚雷攻撃としか説明できない」という結論を導いたわけなのだが。
だけど、こうした主張は、結局、それぞれの思惑に引きずられている。
「北朝鮮魚雷説」の場合、韓国はとにかく目前の選挙の追い風に北朝鮮の「暴挙」を使いたい。日本は辺野古の失策を隠したい。米国は北朝鮮の核を何とかしたいし、軍事的な地位を高める言い訳にもなる。日米韓はすべて、北朝鮮魚雷説が一番都合がいいのである。
しかし「慎重派」の中露は、どちらも北朝鮮がややこしいことになると困る。だけど、日米韓を敵に回すのもいやなので、肯定も否定もせずに慎重な態度を取り続ける。
韓国の「座礁説」は、主に北朝鮮シンパと言えるような人たちが主張しているわけだが、とにかく北朝鮮が不利になるような状況は嫌だというわけだ。もっとも、金王朝を支持しない韓国の左派も座礁説を主張するけど、これは朝鮮半島の軍事的な衝突はダメという立場によるのだろう。
で、ぼくは北朝鮮は限りなく怪しいと思う。だけど、100%北朝鮮だとまで断言はできない。もっとクリアな証明が必要だと思うんだけどねえ。
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