韓国映画 - 執行者

2月24日2010年

独立映画でもないし、特にどうってこともない映画だけど、韓国での死刑について興味があったのでつい最近公開されたチェ・ジノ監督の「執行者」をビデオで見た。

韓国は、元死刑囚の金大中政権、そして金大中路線を受け継いだ人権派弁護士出身の盧武鉉政権の時代を通じ、現在まで十年以上、死刑が執行されていない「事実上の死刑廃止国」。しかし映画は「12年ぶりに死刑が執行されることになった」という設定で始まる。あの李明博政権なら、ありえない話ではない。

韓国でも、徹底的な秘密の中で死刑が執行されてきたという。
日本とよく似てる部分はあるけれど、舞台は刑務所。日本だと死刑囚は拘置所なんだけど、このへんのシステムの違いはよくわからない。目隠しをされた死刑囚が、複数のボタンを押して、踏み板が落ち…というシステムは日本と同じ。刑場の様子は演出が加えられているらしく、実際とは違うというが、だいたいこんな風なんだろうな、という感じはわかる。踏み板が落ちても、死刑囚は数秒間もがくというけど、そんなところも結構リアルに再現していた。もっとも、実際はさらに残酷なものだろうけど。

映画のテーマは執行官の苦悩。深く罪を悔いている死刑囚もいれば、不遜に笑う死刑囚もいる。長年使っていなかったからか、踏み板が落ちないというトラブルも起きる。ぶらさがったまま、なかなか死なない死刑囚もいる。

個人的には、もう、死刑は是か否か、という段階ではないと思う。中国や北朝鮮、アメリカといった世界の代表的な野蛮国は別として、いやしくも先進国で死刑制度なんかを維持している国はない。犯罪抑止だの何だのという議論が無意味であることも実証済み。それでも、世の中では「あんな奴は死刑だ」という言葉がまかり通る。被害者遺族の感情を理由にあげる賛成論者もいるけれど、この映画では死刑にするなと嘆願書を出した遺族が死刑囚と面会し「絶対に許すものか」と叫ぶシーンがある。被害者遺族の感情と言っても、決して犯人を殺せばいいと思う人ばかりでもないのだろう。

冷酷な看守役のチェ/ジェヒョンの演技がなかなか良かった。

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