CiviCRM、そして寄付

1月21日2010年

CiviCRMをいじりながら、画面を日本語に翻訳しているのだけど、CiviCRMの寄付管理モジュールの文字列翻訳はむちゃくちゃ難しい。
モジュールの背景には合衆国の「寄付文化」がある。そして、日本には存在しない各種の寄付が管理できるようになっているわけなんだが。

まだよくわからないのが、donationとcontributionの違い。あえて訳せば寄付と寄与という感じなのかもしれないけれど、文脈的にはどちらも寄付と訳した方がいい。だけど原文ではdonationとcontributionの両方が使われていて、contributionの方が広い意味らしい。contributionの中にdonationが含まれ、その他にもmembershipだとかevent feeなんかがある。
日本だと、会員権や参加費は市民団体が提供するサービスの対価という認識で、寄付という感覚はないのだが、米国流の寄付文化の中では、たとえば慈善団体の会員資格は一種の寄付であり、チャリティイベントへの参加も広い意味での寄付の範疇に入るわけだ。

さらに、寄付の分割払いというのか、定期的な寄付というのか、とにかくpledgeという寄付の払いかたがある。これは日本語になりにくい。そもそもpledgeは約束というような意味で、「毎月これだけ寄付することを約束する」といった寄付の払い方。分割寄付とか訳せばいいのかもしれないけれど、それだとpledgeのニュアンスが出ない。分割というと、「一度に払えないけど」みたいな感じが強くなるけど、むしろpledgeは「この団体を継続的に支援します」といったニュアンスである。

訳しにくいのが、in honor ofとかin memory ofとかいう寄付の表示。誰かの業績を讃えてとか、何かの記念に、みたいな意味で行われる寄付なのだけど、honorやmemoryの対象は誰でもいい。米国あたりでは、芸能人のファンが、自分のアイドルの名前を表示させるためにやったりもするらしい。結婚の記念に寄付、なんてプライベートなのもあったりもする。生活の中に溶け込んだ寄付ならではといえるかもしれないが、日本ではあまり聞かない。

ちょっとした規模の米国の市民団体には、資金調達担当がいるという。資金調達のさまざまなテクニックを駆使して寄付を募るわけだが、CiviContributeにはそんな資金調達のための機能が満載で、いじっているとなかなか面白い。
たとえば、寄付のレポートを作成する機能の中に、初めての寄付か、前に寄付したことがあるか、みたいなのを表示する機能がある。これは、ほとんどの寄付が1回限りだけれど、複数回寄付をした人は今後も寄付をしてくれる可能性が高いというノウハウをソフト化したものだろう。つまり、初回の寄付をした人へのさらなる寄付のアプローチと、複数回の寄付者へのアプローチが異なるということだ。
また、募金をした人が、自分でも募金キャンペーンに参加できるようにする機能があったりもする。
よくわからないが、campaign contributionという寄付の種類もあって、これは辞書的には選挙献金になる。末端の市民団体レベルで選挙のための資金を集めることもするということなのだろうか。日本の選挙と米国の選挙はずいぶん違うけれど、そうだとすると「そこまで違うか」という気がする。
なるほどと思う機能は、寄付の税控除に関するオプションがあること。米国のNPOは寄付に対する税金の免除をしてもらえる制度があるけれど、寄付者が税申告するときに便利なように、この寄付の控除額はいくら、ということがわかるようになっているのである。今のところ日本じゃ使い道のない機能なのだけど。
米国では、「税金」を払う代わりに、寄付という形で代替することができるという理屈だ。何だかわけのわからない使われ方をする税金を払うぐらいなら、目的がはっきりしている市民団体に寄付してお金を有効に使うということで、米国の市民運動が社会の仕組みの中に位置付けられているからこその制度だと言える。

原文と訳語を見ながら、この寄付モジュールはすごいなあ、と思いつつ、反面、日本でこんなもん、使い道ねーなと思ったりもする。

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