韓国の民主主義
韓国って、わかんない国だ。
87年の6月民主抗争の記念日に当たる6月10日に「6.10汎国民大会」というのが開かれたそうだが、評価が極端に分かれている。
韓国政府と、朝鮮日報、東亜日報、中央日報といった右翼紙、そして右派は、これをポピュリズム、民主主義に対する挑戦として非難している。
先日死んだ前の大統領、盧武鉉に近い野党は、集会を開くのがどこが悪い、と、むしろ反民主は政府だとし、ハンギョレや京郷などの中道左派紙(日本と同じく、韓国にも右派紙はあっても左派紙はない)は街頭で民主主義を守ると擁護する。
統一系の左派は、盧武鉉に好意的といえるので、野党と一緒に広場の民主主義を擁護する。ところが社会主義系の左派は、盧武鉉を進歩と認めておらず、むしろ「敵」なので、シニカルな視線を送っている。
この集会、ソウルの中心部で15万人(主催者発表)を集めたというのに、日本では北朝鮮決議で霞んでしまってほとんど報じられなかったが、朝日新聞のインターネットのサイトで簡単に「大規模な反政府集会」と報じている。この記事の中で、李明博のコメントが紹介されているのだが、「成熟した民主主義」、「成熟した市民」というようなことを言っている。広場に何万、何十万と集まった怒った国民は、未成熟な市民、そんな集会を開く野党は未成熟な民主主義ってわけだ。しかし、自分に反対する自国民に対して「お前ら、未成熟」という大統領って…。
で、李明博は韓国を成熟させるために何をしているかというと、反対勢力を手当たり次第、捕まえているのだからオカシイ。反政府集会ができないようにすれば、反政府集会のない成熟した民主主義、成熟した国家になるというんだろうか。するってーと、中国とかシンガポールとかビルマとか、いや、北朝鮮なんて超成熟国家だ、ってことになる。
李明博の目には、日本は成熟した民主主義の国家に見えるのかもしれない。労働組合は会社に協力的だし、社員をクビにしても黙々と会社を出ていくし、これだけ日本を疲弊させた小泉政権にも「反政府集会」なんて皆無に等しかったし、憲法なんて政府の解釈でどうにでもできるし…
日本人的な常識では、韓国のデモは過激に見えなくもない。
派手に警官隊と衝突して、下手すると死者も出るぐらい激しく衝突する。
しかし、これらの群集が決して周辺の商店を襲撃したり、無関係な市民の車を燃やしたりということはしないってことは見落としちゃいけない。韓国の右翼紙は、失業者などの不満分子の集まりだと書き立てるし、たしかに一見、ばらばらの欲求不満の群集のように見えるけれど、決してそうではない。彼らが激しく衝突するのは警官隊、国家の暴力や、直接自分たちを攻撃してくる集団に対してだけで、とても冷静だし統制が取れているし、自分たちがしてることの意味をちゃんと意識している。
不満分子の群れは武力で鎮圧できても、意識的な市民の群れを武力で鎮圧しちゃいかんと思うな。成熟してるかどうかはともかく、だ。
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