「クラシック」は和製英語?
ベートーベンとかモーツァルトなんかの音楽は「クラシック」音楽と呼ばれる。最近までこの「クラシック」という言葉、英単語の classic のカタカナ表記だと思っていたのだけれど、本当に英語なんだろうか?
何語でもかまわないんだが、いや、何だか気になってね。
というのは、音楽のジャンルとしてのクラシックは、英語だと"classic music"ではなくて"classical music"、略してclassicalだ。カタカナ表記だと「クラシカル」になる。単に"classic"だとちょっと意味が違ってきて、エリントンだとかジミヘンだとかも"classic"だったりする。
英語じゃないとすると、英語のclassicalに相当するドイツ語だとKlassiche、フランス語だとclassique、イタリア語だとclassica。
「クラシック」に近いのはフランス語のclassique。するとフランス語? しかしクラシックが日本に入ってきた頃、クラシックと言えばベートーベンみたいな感じで、ドイツの古典音楽だったはずだからフランス語ではなさそう。とはいえ、Klassicheを「クラシック」とカタカナ表記するのは無理がある。
どう考えてもおかしい。
いろいろ考えた結果、「クラシック」というカタカナ語は、"classical music"を意味する和製英語だ、と考えるしかなさそうだ、というのがぼくの結論。
だからどうした、とか聞かれると困るんだが...
ところで、韓国でも西洋古典音楽を「クレシク」と言う。日本の「クラシック」と同じ感覚。
ちょっと前に、「ラブストーリー」という日本語タイトルで公開された韓国映画の原題が「クレシク」だった。
で、この英語タイトルが"The Classic"。
最初、「ラブストーリー」って、あんまりじゃない?という気がした。そのままカタカナで「クラシック」にすればいいのに、何でこんな陳腐な言葉を、と思ったわけ。
だけど、英語タイトルの"The"を見て何だか納得してしまった。英語の"The Classic"を「クラシック」と訳したら明らかな誤訳だ。あえて普通名詞として使われる「ラブストーリー」をタイトルにしたのは、ちょっと開き直った「これぞ古典的ラブストーリー」みたいなセンスなんだろう。確かにこの映画、「涙が止まりませんでした」みたいな恋愛映画のあらゆる要素が入っていて、キッチュなラブストーリーになるぎりぎりのところで踏みとどまった(あるいは片足ぐらいは踏み外しているかもしれない)映画である。
映画の邦題には味のあるものが多いのだけど、この邦題もそう思えば、なかなかの名訳だと思う。
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