おいしいコーヒーの値段

2月6日2009年

「おいしいコーヒーの真実」というドキュメンタリーが去年日本でも公開されて話題になったけど、去年はちょうどG8で忙しく、しばらく前にやっと見た。
ドキュメンタリーの舞台はエチオピア。現在、日本への輸入がストップしているモカの産地で、「ああ、モカがあんなにたくさんあるのに...」とか思いながら見てた。

映画の中ではキロあたりの農家の手取りが十数セントとか言っていたけど、今は当時よりかなり相場が高くなってるから2倍以上にはなってるんじゃないかと思う。
為替レートも大きく変わっているので比較が難しいけど、まあ、それでも感覚的にはキロ100円弱ぐらいかな?
この値段、安いんだか高いんだか。エチオピアのコーヒーと言えば高級コーヒーの代名詞みたいなもので、これがインドネシアあたりの安物だったらとてもこんな値段はつかないと思う。
映画にも出てくるニューヨークの値段を調べてみたら、250円ぐらいだったけど、これは最終的な工程が終わった豆の値段だと思う。
映画では選別作業の様子も写っていたけど、あれは農家が出荷した後? 農家からの出荷は乾燥までじゃないかと思うんだけど、そのへん、ちょっとよくわからなかった。殻を取って選別までやると、その分の工賃がそれなりにかかると思う。
で、今の生豆の小売価格を調べてみると、クオリティによってキロ1000円から2000円ぐらい。エチオピアは輸入停止なので他の豆だけど、まあそんなところでしょう。これを焙煎して袋詰めして売ると、キロあたり4000円ぐらいになる。
コーヒーショップで飲むコーヒーは、1杯10gぐらいの豆を使う。1キロの生豆は焙煎すると2割ぐらい減るので800グラムとして80杯。1杯400円だと最終的に32000円、と。

今、日本のコーヒー屋ではモカがないというので大騒ぎ。イエメンのモカまで品薄になってモカ全体が高騰している。味はともかく、モカの香りは他の豆では代替できないという。それだけ「競争力」のあるはずの品種なのに、生産者は相変わらず貧困にあえいでいるという不思議。映画の中では、ニューヨークで相場が決まるから、スターバックスが買い叩くから、だから組合を作って管理してフェアトレードだ、みたいな話になってるのだけど、生豆の商売じゃたかがしれてやしないかとか思う。
映画にも出てきたけど、国際コーヒー機構だかの価格維持が破綻した原因が知りたい。GATTだとかそのあたりなんだろうけど。
実は、このあたりを考え始めると本当に難しい話で、フェアトレードでよかったネ、だけでは済まなくなってくる。局地的なフェアトレードではなくて、グローバルな貿易の仕組みを変えていかなきゃいけないわけなんだが。とりあえずWTOは悪いので、これはフンサイしてもいいのだけれど、フンサイした後のことを考えると憂鬱になる。何かが崩壊した後の空白地帯では、一番悪い奴が大儲けをするのが常だからだ。そして必ず「WTOがあった時の方がマシだった」という人々が出てくる。
麻薬と同じで、WTOが悪いことはわかっていても、全身にWTOが回ってしまったので、WTOがなければやっていけない、みたいな感じだ。
最近の米国発金融恐慌のおかげで、新自由主義だの市場万能主義だのの問題はある程度理解されるようになってきたようだけれど、それでも企業活動が経済のエンジンだ、企業が儲かるようにみんなで苦痛の分担をしなきゃいかん、みたいな話が変な方向に向かったりもする。経済のエンジンが何かはともかく、経済は庶民の生活のためなのであって、その庶民はコーヒー農家であり、そのコーヒーを飲む僕であるわけさ。

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