Steal This Film II

1月12日2009年

Steal This Film Part 2という名前のビデオがあって、メディアだとか共有だとか技術だとか社会だとか、そんないろんなことを考えるときのいいネタになる。

ビデオが置いてあるサイトは http://www.stealthisfilm.com
ダウンロードのリンクから、いくつかのエンコードが選べる。

ちなみに、サイトには日本語の字幕はないので、ざっとぼくが日本語に訳したsrtをこの記事に添付しておきます。
見る価値はあります。

さて、
「ファイル共有」と言えば聞こえはいいが、まあ、つまり音楽だとか映画だとか、著作権付きのファイルを共有すると、いわゆる「海賊行為」ということになって、何となくやばい。
もっとも、「やばい」なんて思うのは、古い時代の善良な市民だけなのかもしれない。Steal This Film IIに登場するメディア・アナキストたちは突き抜けちゃってる。「しょうがないじゃん、そういう時代なんだから」という感じ。
ぼくも基本的には彼らの主張は正しいと思う。

そもそも、パンドラの箱を開けたのはインターネットだったのだが、これがまたヤヌスなんだな。
インターネットは人民のネットでもあり、同時に新自由主義の武器でもある。新自由主義というより、リバタリアンというべきかもしれない。とにかく世界征服を狙うアメリカのメディア産業にとって、インターネットは脅威であると同時に利益を吸い上げるネットワークでもある。いや、メディア産業だけじゃなくて、米国式新自由主義はインターネットなしでは身動きができない。
そして反グロを叫ぶアナキストたちの存在にもインターネットは欠かせない。
だいたい、新自由主義って、もともとアナーキーな資本主義のことで、それがアナーキーな社会主義と同じインターネットの中で熾烈な駆け引きをやってるわけだ。両者の違いは、所有権についての考え方で、ネットの世界では著作権というか、知的財産権についての考え方の対立ということになる。

面白いのは、メディア・アナキストたちはとりあえず資本主義的な現実社会にそれなりに適応していることで、金を払うかどうかは「触れるか、触れないか」だったりもする。それでいいような気もするし、それでいいのかよ、という気もする。アナキストと言っても、善良な市民なのだね。

しかし最近、ぼくはアナルコ・キャピタリズムも悪くないんじゃないかと思ったりもする。新自由主義資本主義の害悪は、もしかしてアナーキーさが不足しているからじゃないかと。つまり経済的自由は主張しても、政治的自由は、まあどうでもいいや、というのが新自由主義で、政治的な障壁だとか不自由だとかこそ、新自由主義の狙い目であり、稼ぎどころ。このあたりが政治的自由を叫ぶリバタリアンとの違いなんだが。

英語ではintellectual property、日本語では知的財産というあたりが面白いと思う。
フランス語だとpropriété intellectuelle、ドイツ語だとGeistiges Eigentum。
やっぱり日本はドイツの法体系なんだね。
法律的な所有権と財産権の区別ってよく知らないけれど、ちゃんと考えた方がいい。法律の文脈ではなく、社会運動の文脈で。
いろんなパターンがありえると思う。

力が強ければ、味方が多ければ勝てるというのが自由主義のいいところ。
力をつけるには、味方を増やすには、メディアが欠かせない。
音楽産業や映画産業の幸運は、メディア産業の一部だということで、彼らの苦境はマスコミが応援して救ってくれる。
知的所有権だか財産権だかで食ってるのは同じだから。

ここMediRは、「メディアはプロだけのもの?」とかいうキャッチコピーを使っていて、ぼくはこのフレーズが好き。
「プロだけのもの?」というと、おとなしく、プロもいていいし、アマチュアもいていいし、みたいな感じだけれど、メディアのプロとか、プロの製作者とか、そういうのを否定するところまで、もう一歩のフレーズだ。メディアをプロの手に委ねているから、おかしなことになる。メディアをプロの手から奪い返せば、世の中ずいぶん明るくなると思う。

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